「また一人、被害者が出ましたよ」

 美由紀に何か言われる前にと、詠斗は昨夜の事件の話を振った。

『えぇ……私が考えていたのはその件についてです』

 さすがにもう知っていたか、と詠斗は話を先に進めた。

「猪狩華絵さんとは同中だって聞きましたけど、知り合いだったんですか?」

『知り合いも何も、幼馴染みたいなものです。華ちゃんは私の弟と同級生で、通っていた幼稚園も同じでした。家も近所でしたし、小学生の頃は弟も一緒になってよく遊んでいましたよ』

 かわいそうに、と美由紀は今にも泣き出しそうな声で呟いた。もしかしたら、涙を流しているのかもしれない。