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 一年の時の担任だった化学教諭が運良く昨年度の体育祭の時の集合写真を持っていて、一時的に借りることができた。人目につかないようもう一度屋上入り口の前に戻り、美由紀に話しかけてみる。

「こいつが神宮司隆裕……の、はずです」

 指でその人物を示す。窓は閉まっているはずのなのに、詠斗の髪が揺れて右耳の補聴器が顔を覗かせた。

『どうしてそう自信なさげなんですか』
「人の顔と名前を覚えるのが苦手で」
『一年間同じクラスで過ごしてきた方なんでしょう?』
「他のヤツらとは極力関わらないようにしてましたから」
『それにしたってひどすぎます』

 うぅ、と詠斗は顔を歪めた。他のヤツらにどう思われていても構わないが、美由紀に言われると胸が痛むのは何故だろう。