「確かに知子先輩とはケンカしてたみたいだけど、知子先輩、怪我を隠していたことが美由紀先輩にバレて、試合に出る出ないでもめただけなんだって。知子先輩もそんなことで殺したりしないって言って泣いてた」

 その話なら美由紀本人から聞かされていた。親友が突然殺され、その疑いをかけられたのだ。松村知子が泣きたい気持ちもわかる。

「他のバレー部の子やうちのバスケ部の先輩にもいろいろ聞いてみたけど、みんな口を揃えて美由紀先輩は穏やかで優しい人だったって言ってた。私もそう思う。……殺されていい人じゃないよ、美由紀先輩は」

 悔しさを滲ませる紗友。紗友の代わりに穂乃果が隣で紙の上でペンを走らせていた。

 紗友の向かい側、詠斗の隣で、今度は巧が手を挙げた。