食後のコーヒーがテーブルに並んだところで、三人の高校生と元警察官による小さな捜査会議が始まった。

 テーブルの真ん中にはA4サイズのコピー用紙と四色ボールペンが置かれている。詠斗のために会話の内容を話し手が随時メモしていく、半筆談形式を取ることになったのだ。人名や地名などの固有名詞は、唇の動きだけではどうしても読み取りにくい。面倒をかけて申し訳ないと思いながらも厚意に甘えることしかできなくて、詠斗は歯がゆさに胸が苦しくなった。

「美由紀先輩、やっぱり誰からも恨まれてるなんていう話は出てこなかったよ」

 軽く挙手をしてから、そう話し始めたのは紗友だ。