『素敵なお友達をお持ちなんですね』

 唐突に、美由紀はそう詠斗に言った。詠斗は肩をすくめる。

「気持ちだけで十分なんですけどね、本当は」

『どうしてです? せっかく手を貸してくださるというのに』

「……返し方がわからないんですよ」

 正直に、胸に灯った想いを口にする。

「傾けてもらった気持ちにも、貸してもらった力にも、うまく応えられる自信がなくて。気づいたら、あの二人に頼ってばかりの人間になってしまいそうで。……許せないんですよ、そんな自分が」

 だからこそ適度な距離を保っていたいし、あの二人に寄りかかりたいとも思わない。自分に構うことなく、あの二人には広い世界を自由に生きていってほしいといつだって願い続けている。

 何故だろう、美由紀の前ではつい本音をしゃべってしまう。いけない。流されてしまいそうだ。