大橋くんが……。

「そっかー。タネミアに、そんな秘密があったとは」
「でも、俺、そういうのまでちゃんと受け止めて絆を作っていきたいっていうか。なんか、守ってあげたいって思ったんだよね、マジで」
 
昨日、あんなに親身になって返信してくれた大橋くんが……。

「うーわ、男前だな大橋。モノにする日も近いんじゃねーの?」
 
また笑い声。

もう聞いていられなかった。
金縛りにあったかのような体を震えながら無理に動かし、音を立てないようにそこから離れ、一気に階段を駆けおりる。
 
なんで? 
なんでなんでなんでっ?
 
繰りだす足がもつれて、このまま階段から落ちてしまいそうだ。
私の心も、底へ底へと転げ落ちていく。
真っ暗な、とても真っ暗な、底のないような穴に。