次の日の朝。
学校に着いた時に靴箱でナナちゃんと一緒になり、並んで話しながら教室へ向かっていると、
「種田さん」
と、うしろから呼び止められた。
振り返ると、大橋くんだった。
「おはよう。あ、これ、傘、昨日の」
「あ、ありがとう」
傘の持ち手を私のほうへ向けて差しだす彼に、なんとなく気恥ずかしさを感じて「ハハ」と笑うと、大橋くんもそれに呼応したように「へへ」と言う。
「なに、ふたりとも、はにかんでるの?」
間にいるナナちゃんが、ニヤニヤした顔で両方の顔を交互に見る。
「べつになんでもないよ。じゃ、先に行くから」
おーい、と近くを歩いていた男友達を呼び止め、駆けていく大橋くん。
なんとも爽やかだ。