そっか、そうだよね。
上がっちゃいけないよね、普通は。

だってウソツキさん、気を使わないし怖くないんだもん。
だから、つい……。

「わっ」
 
うつむいて呟いていると、バスタオルが降ってきた。

「直じゃないから大丈夫でしょ?」
 
そう言ったウソツキさんは、私の頭を、わしゃわしゃと乱暴に拭く。
顔も拭いてくれて、最後にタオルの上から鼻を引っぱられた。

「なんか子供みたい、私」
「子供でしょ」
「そりゃ、ウソツキさんからしてみればそうですけど」
 
ウソツキさんが、あとは自分で拭いて、と手を離したので、私はバスタオルを持って自分で制服を拭きはじめる。

「で? なにがあったの?」
 
廊下の壁に腕を組んで寄りかかりながら、ウソツキさんが目を細めて尋ねてきた。
その視線は、私の赤くなっている手に向けられている。