「まあ、次の日に友達になって、とか言うくらいだから、わかってると思うけど」
 
私はなんて答えたらいいのかわからずに、傘を少し傾けてうつむいた。

「いや、でも、そんな今すぐどうこうとかじゃなくて、知っててほしかっただけだし、そんな意識しなくてもいいっていうか、いや、意識は本当はしてもらいたいんだけど……あれ? なに言ってんの俺」
 
ハハッと、大橋くんが空笑いをしたその時。

「うわっ! 種田さん、あぶなっ……」
「きゃっ!」
 
ちょうど車が通って、水たまりの水が跳ねた。
と同時に、それを避けるようにぐいっと大きな力で大橋くんに手を引かれる。
 
手を……。

「いやあぁっ!」
 
その瞬間、私はバッと乱暴に手を振り払った。
勢いで傘を落としてしまう。