「あの辺、コンビニ近くていいよね。俺の家の近くにもできればいいのに」
「あんまり行かないよ、コンビニ」
「マジ? 立ち読みとかしないの?」
「しないよ」
 
ようやくクスリと笑うことができた。

慣れないふたりきりの状況に戸惑いこそすれ、メールや学校でいろんな話をしてきたからか、大橋くんに対する警戒心や怖さは和らいでいる。

ウソツキさんとまではいかないけれど、高校の男子の中では一番話しやすい存在だし、ちょっとずつ歩みよってくれる感じが、なんだか嬉しくもあった。

「それでさ、マジで驚いたのなんのって」
 
それに、大橋くんは自分からポンポンと話題を出してくれるから、沈黙に気後れする必要がない。
今だって、学校のこと、部活のこと、家族のこと、いろんなおもしろエピソードを聞かせてくれて、私はほぼ聞き役兼笑い役に徹して歩いた。