「でさー、現国の峰山っちの鼻毛が気になって気になって」
「アハハハ。ノン、やめてよ。次から私も気になっちゃう」
「たしかに峰山先生、髪の毛以外の毛が異様に多いよね。耳からも、ほら」
「やだ、もうナナまで、やめて」
休み時間。
いつものメンバーでおしゃべりに花を咲かせる。
私は率先して話題を出すようなタイプじゃないから、みんなの話に相づちを打ったり笑ったり。
でも、それだけでも十分楽しい。
同じ輪に入っているってだけで、ひどく落ち着く。
「あー、なに? 峰山の話? 俺、アイツの秘密知ってるぜ」
この間からほんの少し変わったことといえば、大橋くんもたまにこの輪の中に入ってくるようになったことだ。
「えー、なになに? 教えて教えて」
「日本史の元原に言い寄ってるらしくてさ」
「ギャー! 気持ち悪―」