「そんなことしなくても、俺が手取り足取りリハビリして、薬を処方するって言ってるのに」
「……なんかその言い方、オヤジくさいです。やらしいっていうか」
「善意あるボランティアに対して、なに? その言い方」
 
私とウソツキさんの間の、人ひとり分のベンチスペースがギッと音を立てる。
なぜならウソツキさんがこちらに身を乗りだして一気に顔を近付け、私との間に片手をついたからだ。
 
私は息が止まったかのように硬直して、目を見開いた。
二十センチくらいの距離で見つめられ、緊張のあまり微動だにできない。
パッパーと、車がクラクションを鳴らしている音が、遠く聞こえた。

「ハッ。こんくらいでそんな顔してるのに、男友達と仲よくやっていけるの?」
「お、大橋くんはそんなことしません」