「こんにちは」
「どーも」
その日の帰り道、マンションの屋上に寄った。
先に来て、またベンチでパーカーを布団代わりにして寝転がっていたウソツキさんは、起きあがって当たり前のように右側に私のスペースをあけてくれ、「どーぞ」と言った。
カシュッと、いい音をさせて缶コーヒーを開けるウソツキさん。
喉仏を上下させながらゴクゴクと飲むその様子を見ながら、私は口を開いた。
「初男友達、できました」
その言葉にウソツキさんは飲むのをやめて、ゆっくりこちらを向いた。
風が一瞬だけ、やんだ気がした。
「ふーん、どんな男?」
「昨日告白された、同じクラスの人」
「ぶ。なにそれ? お友達から始めましょう、ってやつ? 恋人未満友達以上の」
小馬鹿にしたような表情で、鼻で笑うウソツキさん。