「あ……」
 
少しだけホッとした。
ナナちゃんが気を使ってそう言ってくれて、ものすごくありがたいし嬉しい。

でも同時に、ここまで言われたら断るほうが難しいということに気付いてしまう。

「えっと……」
 
この場の雰囲気上、そして周囲の目がこんなにも向けられている以上、私はこう答えざるを得ない。

「じゃあ……うん。よろしくお願いします」
 
私は控えめにペコリとお辞儀をして、そう言った。

途端に教室中のみんながパチパチと拍手をする。
なんなのだろうか、この祝福ムードは。

「やったな、大橋ー」
 
男の子達が野次を飛ばす。

「うっせぇ」
 
大橋くんは照れながらも、まんざらでもなさそうにそう言い返した。
なんだか交際が始まったかのような盛りあがり方に、うろたえてしまう。