「え?」
 
びっくりしすぎて固まってしまい、“友達”という言葉が、頭の中で何回かリフレインする。
瞬時に教室が静かになり、視線がこちらに集中した。
 
友達。
たしかに昨日考えた。
でも、やっぱりそれすら怖くて……。

「美亜、大橋に恥かかせるなよ」
 
となりにいたノンちゃんがこっそり私に耳打ちする。
アサちゃんは、「キャー、すごーい」と、小さく手をパチパチさせている。
 
どうしよう。
こんなみんなの前で、私はなんて答えればいいんだろうか。

「大橋くん、美亜さ、ちょっと男の子苦手らしいんだけど、ちゃんと友達として距離保ってくれるの?」
 
ナナちゃんが横から急に口を挟んだ。

それを聞いた大橋くんはパッと顔をナナちゃんに向けて、
「え? あ、うん、もちろん」
と、三回ほどうなずいた。

「だって。美亜」
 
ナナちゃんが笑顔で私にそう言う。