『気持ち悪い』
 
その言葉が思い出され、一気にぞわりと背中が寒くなった。
 
小・中学校の時の周りからの白い目と、憐みの目。
あからさまにいじめられていたわけではないけれど、なにか腫れものみたいに扱われる疎外感。
聞こえてくる“気持ち悪い”や“かわいそう”といったコソコソ話。
 
あんなふうになるのは、もう嫌だ。
ほんの少し顔を出したポジティブな自分は、過去の記憶を手繰った一瞬でネガティブに舞い戻る。
 
でも、そんな思いと同時に、あまりにも男の子と関わらない不自然さに対して不審がられていることが、私のため息を一層重いものにしているのも確かだ。
隠しごとをしているという後ろめたさも、それを助長させる。
 
八方ふさがりなこの悩みが、小・中学校の時の周りの目から解放されたはずの楽しい高校生活に、暗い影を落としていた。