「リハビリって……うわっ!」
 
ウソツキさんは自分がかぶっていた帽子を、すかさず私の頭にかぶせた。
急に手が伸びてきたので、私は恐怖で一瞬目をぎゅっとつぶり、肩をすぼませる。

「直接触れなければ蕁麻疹出ないんでしょ? この前、腕握った時も大丈夫だったし」
「そ、そうですけど……」
 
そのまま帽子の上から頭をワシャワシャ撫でて、
「免疫、免疫」
と言いながら自分のほうへ引き寄せ、わざと覗きこんで笑うウソツキさん。

至近距離、整った顔の奥二重の意味深な目が、私を上目遣いいでとらえる。
一気に顔に熱が集中してしまった私は、口をパクパクさせた。

「セクハラですっ」
 
平手打ちもできないし、手にも触れられないので、帽子を無理やり頭から剥がして、すごい勢いで離れる。