夕陽に透けて、無造作な髪がオレンジ色に光っているウソツキさん。

なんで、この人に話そうと思ったんだろうか。
気が付けば、私の口は勝手に開いていた。

「私、男の人にさわられると蕁麻疹が出る体質なんです」
 
言った途端、空気が変わった気がした。
ウソツキさんは頬杖はそのままに、今度は顔ごとゆっくりこちらへ向ける。

「小学校の時も中学校の時も、偶然男子に触れられたときに、バーッと蕁麻疹が出ちゃったんです。色が白いこともあって、まるで赤いミミズが何匹も貼りついてるみたいに肌が腫れあがって。それで、“気持ち悪い”って周りのみんなからも距離を置かれて」
 
苦みを伴った気持ちが溢れてきて、少し早口になる。

「今でもトラウマになってて、思い出すと涙が出るほどつらいんです。だから、高校ではそんな失敗したくなくて、その体質のことは隠して、男の人にも関わらないようにしているんです。握手もできないし、付き合うとか、もってのほかで」
「うん」