私はもうちょっと聞いてみたいと思ったけれど、その照れたうしろ姿が年上なのに妙にかわいく思えて、そのまま引っぱられることにした。
 
ウソツキさん、あのね。
私、なんでウソツキさんからもらったチョコレートだけ、おいしさと効果がちがうんだろう、ってずっと思ってたんだ。

でも、途中で気付いた。
ウソツキさんからもらうから、おいしくて効果があったんだって。
私にとってのお薬は、結局、ウソツキさん本人だったんだって。
 
私にくれるために毎回買ってきてくれていたチョコレートも、パーカー越しに抱きしめてくれた温度も、私に見せてくれたあの雨の日の本音も、蕁麻疹が治るまでそばで待っていてくれるって言った、あの言葉も、全部……全部。

「へへ」
 
私にとっては、これ以上ないお薬だったんだ。