「ふーん」
 
マンションの屋上で、今日もまた私はウソツキさんに一日の報告をする。

「オオハシくんも懲りないねぇ」
 
空を見あげながら、けだるそうに話すウソツキさん。

「さわられたりとかしてないよね? まさか」
「してないです。だって、ウソツキさん以外の人に触れて蕁麻疹が出るのか出ないのか、まだわかってないし」
「実験しなくていいからね。むしろ、蕁麻疹出てくれたほうがいいかも」
「え?」
「いや、なんでもない」
 
そう言うと、ウソツキさんは私の頭をコテッと自分の肩に寄せて、ポンポンとする。

「大丈夫ですよ。ウソツキさん以外には、さわりたいともさわってほしいとも思わないから」
「…………」
 
あ、固まった。
私の言葉で、そんなハトが豆鉄砲喰ったような顔もするんだ、ウソツキさん。