「種田さん、これ食べる?」
「あ、チョコ! 朝子、食べる」
「サンキュー、大橋」
「いただきまーす」
大橋くんの手からアサちゃん、ノンちゃん、ナナちゃんが、次々とチョコを取っていく。
私は、あ、ウソツキさんがいつもくれる、あのチョコレートだ、と思った。
「……俺、種田さんにって」
「ご機嫌取りなんて甘いわよ、大橋」
ノンちゃんがそう言いながら、もうひとつチョコを取って食べる。
「ありがとう。いただきます、大橋くん」
私も机に置かれたケースからひと粒もらって、笑いながら口に入れた。
甘くておいしい。
でも、やっぱりウソツキさんのチョコのほうがおいしいけど。
「ふふ」
「なに笑ってるの? 美亜」
ナナちゃんに尋ねられた私は、
「なんでもないよ」
と笑顔で答えた。