静かな沈黙のあと、ウソツキさんは笑った。ふわりと、そよ風が吹いたように笑った。

「いいよ、おいで」
 
自然に手を広げるウソツキさん。

「え……?」
 
自分から言ったのにもかかわらず、断られると思っていた私は、
「じ、蕁麻疹出ても……気持ち悪くない?」
と尋ねる。

「んなわけあるかよ。蕁麻疹が出たら、そこにキスしてあげる」
 
瞬時に私の胸の中は、今の言葉と彼のやわらかい表情で溢れ返った。

うめくように泣きながら手を伸ばす。
ウソツキさんはその手を直にぐいっと引きよせ、それから私の背中に腕を回し、大切なものを包むように、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 
蕁麻疹が出たらどうしよう、とか、気持ち悪いって思われたくない、って気持ちは、もうどこかにいっていた。
ウソツキさんの体温がひたすら嬉しくて、私は必死で彼の背中に手を回す。