「言葉でだったら、どうとでも言えます。私ひとりをだますことくらい、ウソツキさんにとっては簡単なことなんだから」
 
傷つくくらいなら、信じない。
これ以上裏切られるのはもう嫌だ。

自分の下手な期待に振り回されて、最後にやっぱり傷つくのは、もうこりごりなんだ。

「直接触れて態度で示せないんだから、言葉以外に道具がないだろうが」
「聞きましたっ、やっぱり彼女いるって。チョコレートも、あれもただの研究材料で私を利用してただけなんでしょ? ウソツキさんにとって私は、簡単に騙せるような単純な子どもだったんだっ」
 
勢い余って立ちあがり、その場で地団太を踏みながら声を荒らげる。
同時に涙もボロボロ落ちてきて、一気に苦しさが胸に充満した。
嗚咽でむせてしまうも、涙も鼻水も止まらない。