翌日、意を決して二週間ぶりにマンションの屋上に寄った。
前回会った時の胸の痛みを引きずったまま、でも、ウソツキさんにぶつけたい気持ちをかかえきれないほど持って。
 
屋上への扉を開けて一歩足を踏み出すと、少しの間来なかっただけなのに、ずいぶん久しぶりに感じた。

空は薄い雲が数筋流れているだけでキレイに晴れているけれど、乾いた風は冷たさを帯びていて肌寒い。
冬へと移行する時期、二週間前の雨の日から急に寒さが増した気がする。
 
ベンチのほうを向くと、そこにウソツキさんはいなかった。
代わりにベンチ越しに、珍しくフェンスに寄りかかってこちらを見ているウソツキさんがいた。

「なにしてるんですか?」
「んー……こっから見てた」
「なにを?」
「ネコがまっすぐ帰るか、曲がってここに来るか」