ウソツキさんとの会話の数々。
今となっては宝物みたいなそれらを、ひとつひとつ思い出してほどいていく。

大橋くんのこと、友達のこと、蕁麻疹のこと、過去のこと。
いろいろと、ほとんど洗いざらい話してきた。

話してきたのは確かだ、けれ、ど……。

“ネコはさ、蕁麻疹が出て周りに引かれるのが怖いっていう以前に、男に対しての恐怖心とか嫌悪感もまだあるの? 父親のことがフラッシュバックしたりとかして”
 
あれ?

「…………」
 
ウソツキさんが、いつか、なにげなく聞いてきた言葉。
それをふいに思い出し、私は瞬きを繰り返した。
 
え? 私、言ったっけ? 
大橋くんには話したけれど、お父さんからの虐待が蕁麻疹の原因だって、ウソツキさんに言ったこと……あった?