ウソツキさんは、やりきれないような顔で自分のうなじを押さえ、そのまま頭を垂れた。

私にはそのつむじしか見えなくなる。
こんなウソツキさんは初めてだ。

「目の前にいるのに……生殺し」
 
とても大きなため息の後、いつになく弱々しい声。

「触れたくても触れられない。ガキのくせに罪作りな女だね、ネコは」
 
嘲笑じみた口調で「ハ」と薄く笑っている。
私はただ、それを聞いているだけだ。

「本当はさわり倒したい。だからキツイ」
「…………」
「相当キツイよ。これ」
 
かすれたような声を最後に、ウソツキさんはうつむいたままで、もうなにも言わなくなった。

けれども、じわじわと私の心に、今の言葉の数々がしみ込んでくる。
ウソツキさんの気持ちが流れこんでくる。
 
ウソツキさんは私のことを……。
 
そう実感した途端、一気に熱くなった胸。
でも、次の瞬間には、ぎゅっときつく鷲づかみにされたような苦しさと痛みに、震える唇を固く結んだ