帰り道。
小雨が降る中、傘を差していつもの通学路を帰る。
下ばかりを見て、時折広がる浅い水たまりをよけながら、歩くことで生じる定期的な水音のみに集中して進む。
「ネーコ」
マンションの前を素通りしようとすると、聞き覚えのありすぎる声が斜め背後から聞こえた。
一瞬驚いて立ち止まってしまったけれど、振り向かずに二歩ほど足を進める。
「種田美亜さーん」
今度はフルネーム。
無視して帰ろうと思うも、結局私は自分の気持ちに負けて、ゆっくり振り返ってしまった。
シトシトと降る静かな雨。目が合った途端に、その音すら消えてしまう。
見覚えのあるパーカーに、着古したジーンズ。
マンションのエントランス前で、壁にもたれかかりながら腕組みをしているウソツキさんが、表情もなくこちらを見ていた。
小雨が降る中、傘を差していつもの通学路を帰る。
下ばかりを見て、時折広がる浅い水たまりをよけながら、歩くことで生じる定期的な水音のみに集中して進む。
「ネーコ」
マンションの前を素通りしようとすると、聞き覚えのありすぎる声が斜め背後から聞こえた。
一瞬驚いて立ち止まってしまったけれど、振り向かずに二歩ほど足を進める。
「種田美亜さーん」
今度はフルネーム。
無視して帰ろうと思うも、結局私は自分の気持ちに負けて、ゆっくり振り返ってしまった。
シトシトと降る静かな雨。目が合った途端に、その音すら消えてしまう。
見覚えのあるパーカーに、着古したジーンズ。
マンションのエントランス前で、壁にもたれかかりながら腕組みをしているウソツキさんが、表情もなくこちらを見ていた。