「わっ」
 
以前にもこんなことがあった。ジップアップパーカーをかぶせられ、フードまでしっかり頭にかけられ、ファスナーも首まできちんと締められる。

「びっくりさせないでください」
 
ウソツキさんは、脱いだら半袖だった。
「さみ」と言って鼻をすすっている。

「風邪ひきますよ? 私はいいから自分で着てください」
「寒いから、うしろからぎゅーってさせて」
 
甘い顔を傾けて、返事も待たずに私を方向転換させるウソツキさん。

「だから、セクハラです」
 
前回とは、わけがちがう。
心拍数が急上昇して、今日はどうにも居心地が悪い。

そんな気持ちをよそに、バタバタする私を、うしろから肌が触れないように抱きしめてくるウソツキさん。

「この前は自分から抱きついてきたんだし、今さら、なんてことないでしょ? だって俺、お兄ちゃんと同等らしいし」
「そ、それはまた、ちがう話で」