「ネコさーん。戻っておいで、こっちに」
「わっ、聞いてるよ、ちゃんと」
急に目の前でウソツキさんが手をヒラヒラさせたもんだから、我に返った私は慌ててそう答えた。
いつものベンチの端で足を組みながら、肘かけに頬杖をついているウソツキさん。
ちょっと怪訝な顔をしながら、透視せんばかりにジトッと私を眺めている。
「パブロフの犬がどうしたんですか? それで」
「いや、それ、五分くらい前の話だし」
いっそう眉間にシワを寄せて、私を見つめるウソツキさん。
見られていることを意識すると、また顔が熱くなって体がこわばる。
私はなるべく平静を装って視線をそらし、屋上から見える街並みや空を見るふりをした。
「最近、寒くなってきたね」
急にちがう話を振るウソツキさんに、
「そうですね」
とそっけなく返すと、すかさず「よっ、と」という声と同時に、なにかに体を覆われる。
「わっ、聞いてるよ、ちゃんと」
急に目の前でウソツキさんが手をヒラヒラさせたもんだから、我に返った私は慌ててそう答えた。
いつものベンチの端で足を組みながら、肘かけに頬杖をついているウソツキさん。
ちょっと怪訝な顔をしながら、透視せんばかりにジトッと私を眺めている。
「パブロフの犬がどうしたんですか? それで」
「いや、それ、五分くらい前の話だし」
いっそう眉間にシワを寄せて、私を見つめるウソツキさん。
見られていることを意識すると、また顔が熱くなって体がこわばる。
私はなるべく平静を装って視線をそらし、屋上から見える街並みや空を見るふりをした。
「最近、寒くなってきたね」
急にちがう話を振るウソツキさんに、
「そうですね」
とそっけなく返すと、すかさず「よっ、と」という声と同時に、なにかに体を覆われる。