「あのさ、オオハシくん。見るからに、さわやか少年で、まっすぐーって感じだけど、もちょっと頭働かせてから、いろいろ行動しようよ」
「はぁっ? なんで、アンタに言われなきゃ……」
「帰れよ、ガキ。これ以上コイツを傷つけたり怖がらせたりすんなって言ってんの」
 
瞬時に低くなった声に、大橋くんがひるむ。

ウソツキさんがどんな表情で言っているのか立ち位置上わからないけれど、私も頭上のその声に生唾を飲んでしまった。
それと同時に、なぜか心拍も速まりだす。

「だ、誰なんだよ、結局、アンタ」
 
おびえながらも正義感を振り絞って尋ねる大橋くん。

「この人の兄」
「……っ!」
 
その途端、ピシッ、と空気が凍ったような気がした。