「マンションの住人って……。種田さんは男の人苦手で触れられるのが怖いので、離してやってくれますか？」
　
ウソツキさんの格好もその理由なんだろう、いかにも怪しげな目でウソツキさんを見て、少し怒り口調で訴える大橋くん。

「俺はいーの。ていうかさキミ、それ知っててさっきさわったの？　この子に」
「ちょっ、ウソツ……」
「もしかして、オオハシくんってキミ？」
　
名前を言い当てられて、瞬時に固まる大橋くん。

「なんで俺の名前を……」
「チョップ！」
「ってぇっ！」
　
ウソツキさんが急に、大橋くんの頭に重量感のあるチョップをした。

大橋くんは頭を押さえながら、さらにわけがわからないという顔をする。
いつもの通学路が、妙な空気に包まれた。