「相手からのメールを人に見せること自体言語道断なのに、悩みごとまで見せるって、ありえない。人として最低最悪」
「大橋くん、そういう人だったんだ。朝子ショックー」
「や、だから……」
 
ふたりにずいずい押され、大橋くんはタジタジになっている。

「言いふらしていい? 大橋はこういうこと平気でする人間でーす、って」
「ノンちゃん、いいよ、もう」
 
怒ったノンちゃんが、だんだんエスカレートしてきだしたのを、私は慌てて止める。
なんだか大事になってしまいそうだし、なにより、すでに私の心は晴れていた。

「美亜」
「もう、大丈夫だから。怒ってないし」
「美亜っち、そんなお人好しなこと言って」
「本当にもう大丈夫なの。なんか、もうどうでもいいっていうか、今さらどうしようもないっていうか。大橋くんも悪気があったわけじゃなかったってわかったし」