大橋くんは苦い顔をしながら一生懸命説明してきた。
言い訳にはちがいないんだけれど、バカ正直なくらい取りつくろわずに。

「ごめん。本当にごめん。最低なことだってわかってたはずなのに。サイテー、あーもう、超最低。俺、最低の人間です。人間のクズです。気が済むまで叩いてもらってもい……」
 
その時、ゴンッと鈍い音が響いた。

「いってっ!」
 
急なことに、大橋くんのみならず私も面喰らう。
いつのまにかノンちゃんが大橋くんの背後に立っていて、思いっきり頭をグーで叩いていた。

「マジ最低っ! 人間のクズッ! 大橋、それでも男かっ!」
「うわっ、なんでここにお前が」
「美亜が心配だったから、そこに隠れて聞いてた」
「な……あっ!」
 
ノンちゃんが指さした校舎の陰からアサちゃんも顔を出し、大橋くんはまた面喰らった顔をした。

ナナちゃんはいなかった。
常識的なナナちゃんのことだから、来ていないのもなんとなく納得できる。