「ごめん。俺、なにか気に障ることしたかな、って思って」
最初に告白された校舎裏。
曇り空で、昼なのに薄暗い中、大橋くんは単刀直入に聞いてきた。
どう言ったらいいのか考えがまとまらず、私はしばらく足もとへ視線を落としたままだ。
「やっぱり、あの雨の日、ちょっとだけでも触れちゃったから、怖くなった? 俺のこと。それとも、まだ気持ちがあるって言っちゃったから……」
「ううん、違うんだけど……」
私は首を振って、大橋くんの言葉を遮る。
「じゃ、なに? 俺、ここ最近ずっと考えてたんだけど、わからなくて」
「メール……」
「え?」
ああ、言いたくないな。
言いたくないけど……。
「大橋くんが、私の送ったメールを友達に見せてるところ……見ちゃって」
大橋くんの顔が一瞬で固まった。
そして、みるみるうちに頭上の曇り空と同じような顔色になっていく。