「直で?」
「直で」
 
なおも当たり前、という顔をして私を見る。

はずかしげもなく答えるウソツキさんに、聞いた私のほうが赤くなる。
なんでそんなに堂々と言えるんだろう。

「ふーん。なんか不潔ですね。やらしい」
「ガキ」
「…………」
「まちがえた、仔ネコちゃんか」
 
どこまでも私をおちょくるのが趣味らしい。
自分で自分の言葉に、またクスクス笑っている。

「本気で人を好きになればわかるよ、ネコも。最初は手をつなぎたくなって、抱きしめたくなって、次はキスしたくなって、最後は全身重ねたくなって。直接触れたいところがどんどん増えていくのは、自然なことでしょ。不潔とか言ってる人の脳味噌のほうが不潔」
 
軽く舌を出し、小馬鹿にしたような口調と顔でそう言うウソツキさん。