大橋くんの一件は詳しくは言わなかった。
三人の大橋くんに対する好印象を崩したくなかったっていうのもあるけれど、いまだにあの出来事は私の胸に刺さっていて、話したいとは思えなかったというのが本音だ。

だから、ただ触れられそうになって怖くなり、少し距離を置いている、というふうに説明した。
 
話し終えたら、しばらく三人とも無言になった。

アサちゃんは少し口を尖らせた顔。
ノンちゃんはちょっと怒ったような顔。
ナナちゃんは私を労るような、それでいて悲しげな顔。

机に広がるスナック菓子には、みんな、まったく手をつけなくなった。 

「つーかさ、なんでそれ、今まで言わなかったわけ?」
 
一番最初に口を開いたのは、ノンちゃんだった。
もっともな意見と口調の強さに、一瞬ビクリと肩が上がる。