「わっ、えっ?」
「大丈夫、触れてないって」
 
たしかにパーカーをフードまでかぶっているから直接肌には触れていないけれど。
いや、触れていないとはいえ、こんなふうに密着することになんの必要が……。

「あー、役得。どさくさに紛れて女子高生抱きしめられた」
「ウソツキさんっ」
 
やっぱり、からかってる。この人。

「ハハ、ウソだって。こうしたら蕁麻疹も出ないし。慣れたら、いつのまにか直接でも出なくなるかもしれないでしょ?」
「そんなに都合よく、うまいこといくわけないです」
 
慣れる気もしない、こんなにドキドキするのに。

「ハハ、まあこれは荒療治だけど。でも、覚悟を決めて友達に話してみる、っていうのは必ずしもマイナスにはならないでしょ、たぶん」
「たぶん、って無責任です」