「まあ俺の場合、隠しようもなかったっていうのもあるけど。まあ、でも友達いるし、今でも普通に海とか行くし」
「…………」
「男だから、女ほど同情の目では見られないけどね。トラウマの度合いも全然ちがうだろうし。でも、ネコはもったいない。自分で自分のよさとか可能性とか青春を奪ってる」
 
自分で……自分の?

「今に不満なら、もっとその打開策をどんどん実践すべき。失敗したら、また新しい方法を考えればいいんだから」
「打開策……」
「勇気を出して、周りの人に打ち明けて理解してもらうっていうのもそうだし。体質のことに関していえば……たとえばネコ、うしろ向いて」
「え? こうですか?」
 
なんだろう? 

そう思いながらウソツキさんに背を向けた瞬間、うしろからぎゅっと抱きしめられた。
途端に体がカチカチに固まり、頭がまっ白になる。