「そんな簡単にできることじゃないし、ウソツキさんは、私じゃないから言えるんです。私は今までの経験上、とてもじゃないけど……」
「俺の背中見てみる?」
 
急にウソツキさんの声のトーンが変わった。
「え?」と聞き返した私から離れてベンチの端に移動した彼は、こちらに背を向けるとTシャツを肩のところまでたくし上げて見せた。

「……っ!」
 
びっくりして口を覆う。
背中の半分以上に、大きなやけどの痕があったからだ。

色はうっすら赤いくらいだけれど、表面が少しデコボコしていて、明らかに周りの皮膚とはちがっていた。

「ちっちゃい時の、やけどの痕。水泳の時間にはよくからかわれたり、“気持ち悪い”も“かわいそう”も言われたよ」
 
なんて返していいのかわからずに、私は口をつぐむ。