「中学までいろいろ言われてきたトラウマがあるのはわかるし、相当キツかったんだと思うよ、実際。そして、今行ってる高校にも、そういう心ない人達がいるのは確か」
「……うん」
「でもさ、ひとくくりにみんなが、そうじゃないでしょ? 正直に話しても、ネコのこと、ちゃんと理解しようとする人もいるだろうし」
「だから、それで失敗した時が怖いんです。今回みたいに……」
 
もう、こんな思いはしたくない。
その苦い気持ちが、私の眉間にシワを作る。

「そう、だから、もう少しワガママになって強くならなきゃ。それで距離置かれたり、他人に言いふらすようなヤツなんか、こっちから切り離して塩まいときゃいいんだよ。自分自身で友達の選別をするの。一回の失敗すら怖がって、失敗したら泣き寝入りして、それこそ負け犬じゃん」

負け犬……。

「とりあえず、身近で信用できそうな女友達にでも打ち明けてみれば? 今の進退窮まった状態からは抜けだせるきっかけになると思うから」