「どこにですか?」
「いつもの場所。それとも、ネコの部屋に入ってもいいわけ?」
「いやいやいや、無理無理無理、無理です」
「ハッ、首振りすぎ。ほら、じゃあ家の鍵取って」
「わっ!」
 
ぐいっと手を引かれて驚く。

え? 手……?

「あれ?」
「ちょっと早めの防寒具」
 
そう言ってウソツキさんは、私とつないだ手を上にあげてみせた。
ウソツキさんの手には、グレーの手袋がはめられていた。

「あ……」
「はい、行こ行こ」
 
結局そのまま手を握られながら、私はいつものマンションの屋上に連れていかれた。