「っぶねー……。頭打つとこだった」
「どうして私の家、知ってるんですか?」
「んー……魔法使いだから?」
 
そこには、ふっと自分で言いながら笑う、ウソツキさんが立っていた。
 
なにそれ? 意味がわかんない。
驚きすぎて、ウソツキさんの冗談にすらツッコめない。

薄ピンクのTシャツと黒のパーカー姿の彼は、ジーンズに両手とも突っ込みながら微笑んでこちらを見ている。

「もしかして、ストーカーとか?」
 
ちょっとヒヤッとしてそう聞くと、「おい」と言って下唇を突き出すウソツキさん。

「たまたまその辺歩いてたら、ネコがここに入っていくのが見えたの」
「ウソだっ!」
「ウソだけど。まあいいから、とりあえず行くぞ」
 
は? なにがウソで、なにが本当かわからない。