放課後。
私は少しでも早く学校から出たくて、すぐに教室を後にした。

教室を出る時、なにか話しかけたそうにこちらを見る大橋くんが視界の隅に入ってきたけれど、私は気付かないふりをして靴箱へ小走りした。
 
やっぱり、周りから白い目で見られているような錯覚がまとわりつく。

今日一日、誰かになにか変わったことを言われたわけでもないし、あからさまに笑われたり、憐みの目を向けられたりしたわけでもない。
でも、きっと陰で“気持ち悪い”って言われているんだという被害妄想が剥がれなかった。
 
早く帰らなきゃと、自分を急かす。
小学校、中学校と、部活にも入らず、友達と遊ぶでもなく、ずっとこんな気持ちで家に直行していた。

またこれからこんな憂鬱な毎日が続いていくんだ……。