「ね。そこ、俺の特等席」
「うわっ!」
目を開けると、大空をバックに男が覗きこんでいた。
思わず大声をあげて飛び起きる。
「死んでんのかと思った」
ベンチの端に寄って固まっていると、その反対の端にズシッと重心が移る。
男はそのまま足を組み、頬杖をつきながらこちらを見た。
ハタチ前後だろうか、歳は明らかに上に見える。
ベンチは三、四人が座れるほどの長さだけど、それでも私は近さを感じて、体をもっと端へと詰めた。
「なんで女子高生がこんなとこいるの? 自殺志願者?」
制服のままだから女子高生とわかったのだろう。
男はもの珍しそうな顔で私を見て言った。
なにやらひと粒、お菓子のようなものを口に入れてモグモグしながら。
「……いえ」
“こんなとこ”と言われるここは、五階建てマンションの屋上だ。
「うわっ!」
目を開けると、大空をバックに男が覗きこんでいた。
思わず大声をあげて飛び起きる。
「死んでんのかと思った」
ベンチの端に寄って固まっていると、その反対の端にズシッと重心が移る。
男はそのまま足を組み、頬杖をつきながらこちらを見た。
ハタチ前後だろうか、歳は明らかに上に見える。
ベンチは三、四人が座れるほどの長さだけど、それでも私は近さを感じて、体をもっと端へと詰めた。
「なんで女子高生がこんなとこいるの? 自殺志願者?」
制服のままだから女子高生とわかったのだろう。
男はもの珍しそうな顔で私を見て言った。
なにやらひと粒、お菓子のようなものを口に入れてモグモグしながら。
「……いえ」
“こんなとこ”と言われるここは、五階建てマンションの屋上だ。