* * *


「うーん……。どうしよう」


その日の放課後、私は早速、ノート片手に頭を抱えた。

授業で課題を出されていたことを忘れていて、明日までに必ずやってくるよう先生に言われたのだ。

一度は家に持ち帰ってやろうかとも考えたけれど、また忘れてしまう前に学校に残って終わらせたほうがいいのではないかと頭を悩ませている。

幸いといったらなんだけれど、今日は朝陽と帰る予定もないし、学校に残って課題をしても気を使わせずに済む。


「でも……」


キョロキョロと辺りを見渡すと、教室の中では数人の女の子たちがそれぞれに談笑を楽しんでいる最中だった。

このままここで課題に取り組んでしまうと気が散って、結局、落ち着いて机に向かうことはできないだろう。

私は早急に荷物をまとめて教室を出ると、長い廊下を一人で歩いた。

やっぱり、学校に残って課題を終わらせよう。

そう決めた私が向かったのは、第三音楽室だ。