「何言ってるの。朝陽が謝る必要なんてないし、大切な授業なんだから私のことは気にしなくていいよ」
顔を上げ、笑顔を見せながら答えたけれど、朝陽の眉間のシワは寄ったまま。
「私は大丈夫だから。もう高校生なんだし、小学生の時みたいに急に道路に飛び出したりしないよ?」
冗談めかして小さく笑えば、繋がれた手にキュッと力が込められた。
見上げると、朝陽は難しそうな表情で私を見ている。
朝陽は本当に、心配性だ。
私のことなんて気にしないで、自分がしたいようにしたらいいのに。
朝陽は自由に、自分の好きなことをするべきだ。
「朝陽がどうしても成功させたいって言うくらいだもん。よっぽど、大切なことなんでしょ?」
言いながら彼を見上げると、朝陽が一瞬、驚いたように目を見開く。
「だから私は、応援する。当たり前でしょ? 朝陽は私の一番だもん。私が応援しなくて、誰が朝陽を応援するの」
繋がれた手に力を込めて、今度こそ微笑むと、朝陽の表情が和らいだ。
ようやく大好きな笑顔が見られて満足した私は、スッと視線を前へと戻す。