キッパリと、それだけを言った陸斗くんは、再びカーテンを強く引き寄せた。
そのせいで身体と身体が密着する。
思わず目を逸らしたくなったけれど、彼の強い目が逃げることを許さなかった。
「で、でも。普通じゃない私と一緒にいたら、この先も疲れるだろうし……だから、」
「じゃあ。そもそも、アンタの言う"普通"って何? 病気や障がいもなんにもなくて、健康が取り柄ですって奴がフツー?」
「それ、は……」
「なぁ、普通ってなんだよ。普通の奴がどんな奴なのか、教えてくれよ」
強い口調で責め寄られ、とうとう押し黙るしかなかった私を、陸斗くんは冷ややかに見下ろしていた。
ビー玉のようなブラウンの瞳には小さな私が映っていて、思わずその瞳の奥を覗いてしまう。