そうすることが当たり前になっていて……当たり前になりすぎていて、朝陽自身も、気付いていないのかもしれない。

私のそばにいることは、朝陽に課せられた義務じゃないということ。

当たり前のことでもないし、仮に私に何か起きても、朝陽が責任を感じることなんて一つもないのだ。


「だから、私は……」


それでも、私は。

私はただ、朝陽のそばにいたかった。

朝陽の隣にいたかったんだ。

彼氏彼女になりたいなんて、贅沢は言わない。

幼馴染でいいから、大好きな朝陽のそばにいたかった。

バカな私に朝陽が愛想を尽かすまで……ただ、そばで朝陽の笑顔を、見ていたかっただけなの。

朝陽が当たり前じゃないことに気付くまで、ただ、彼の隣にいたかった。


「結局、私は……自分が一人になるのが怖くて、朝陽を解放してあげられないだけ」


ブラウスの袖で涙を拭って、ゆっくりと顔を上げると綺麗なブラウンの瞳が、真っ直ぐに私のことを見下ろしていた。