朝陽もいつも笑ってて、私も同じように笑っていた。
だけど小学校も高学年に上がり、中学生になる頃には私達の周りにいる人間に、色々なことを囁かれるようになった。
──二人は付き合ってるの?
当たり前のように尋ねられ、ただの幼馴染なのに手を繋いで歩くことは"普通"じゃないと指摘された。
中学校に上がってからは朝陽のことを好きだという女の子に何度も呼び出され、理不尽な罵声を浴びせられたり、嫌がらせをされたこともある。
小学校の頃は、それなりに女の子の友だちもいたけれど、中学校に上がってからは"普通じゃない"と敬遠されるようになり、いつの間にか教室では一人になった。
大事な約束を忘れてすっぽかすことも、一度や二度じゃない。
忘れ物ばかりして、そのたびに貸してほしいと言われていたら誰だって鬱陶しくなるだろう。
いつも落ち着かなくて、空気が読めない。
私にその気がなくても、知らず知らずのうちに相手を傷付けてしまうこともあった。
学校と併用して通っていた専門病院のお陰で、歳を重ねるごとに少しずつ治まってきたこともあったけれど。
それでもやっぱり、『また傷付けてしまうんじゃないか』『また嫌われてしまうんじゃないか』と思うと、自分から率先して友達を作ることはできなかった。