「今、陸斗くんの言った男の子は……朝陽は、私がADHDだって知ってるの。一緒にいたリュージくんも知ってる。全部、全部……知ってる」
突然のカミングアウトに驚いたのか、陸斗くんは黙り込んで何かを応える様子もなかった。
当然だろう。突然こんなことを言われたら……驚くだろうし、何より戸惑うに決まっている。
「朝陽は、私がADHDだってわかってから、私のそばを離れなくなった。小学校の時も中学校の時も。高校生になった今も、朝陽は私のことを守ってくれてるの」
私は顔を上げることもできずに、俯いたままゆっくりと、話を続けた。
──思い出すのは、私がADHDであるとわかってすぐのことだ。
産まれたときから家族ぐるみで仲の良かった、私と朝陽。
当時、母は、とにかく色々なことが不安だったんだと思う。親友とも呼べる朝陽のお母さんに、私の発達障害のことを打ち明けたのだ。